1.そうだ,会社を作ろう!

2023年の年末、コロナもようやく落ちつき始めた頃のことです。久しぶりに会社へ出社すると、社長から呼び出されました。

その社長は50歳前半の女性で、理系出身らしく論理的でありながら、人への思いやりを忘れない優しさを持った方でした。かわいらしい雰囲気がありながら、経営者としての手腕も確かで、多くの社員から慕われていました。そんな彼女が、少し言葉を探すようにして私に告げました。

社長「来年3月で退社して頂けないかしら」。

その声には、申し訳なさと苦渋の色が滲んでいました。彼女自身が背負う重みが伝わってきて、私は逆に落ち着いた気持ちで聞いていました。

私が勤めていたのは外資系のメーカーで、そこは私にとって2社目の会社でした。入社して6年目――ちょうど仕事にも環境にも馴染み、安定した日々を送っていた時期でした。しかし、コロナ禍で業績が悪化し、リストラの波が押し寄せていたのです。部下が解雇されていくのを見てきた私は、「ついに自分の番がきたか」と、どこかで覚悟をしていたのかもしれません。

思い返せば、コロナ禍の数年間、私は沖縄で在宅勤務をしていました。朝は潮騒に目を覚まし、昼は白い砂浜を歩きながら会議に臨む。組織に所属しながらも、ノマドワーカーのように自由に働いたあの時間は、私にとってひとつの旅でした。都会の喧騒から離れ、波音をBGMにキーボードを叩いた日々。その体験が、働き方の価値観を大きく変えていたのです。

だからこそ、解雇を告げられたとき、再就職という選択肢は浮かびませんでした。もう一度同じ椅子に座るのではなく、新しい椅子を自分の手でつくろう。そう決めたのです。

個人事業主か、マイクロ法人(※)のひとり社長か――個人事業主になれば国民健康保険の負担がかなり大きい。一方でマイクロ法人なら、社会保険料を調整しつつ法人としての信頼を得られる。心は自然と法人設立へと向かっていきました。

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マイクロ法人:ひとり、または家族だけで運営する小規模な株式会社。役員報酬を低めに設定することで社会保険料を抑えつつ、法人としての信頼性を確保できる。

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